賃借権付き中古物件の特徴とその背景:総裁選挙と日銀政策が不動産市場に与える影響

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(Photo:東京虎ノ門ヒルズ45階に展示されているAFEELAプロトタイプ2023 2024/09/01 PM15:30 気温33.2度)

総裁選挙と日銀政策が不動産市場に与える影響

2024年9月12日、自民党は岸田文雄首相の後継を決める総裁選を告示しました。9月27日に自由民主党総裁の投開票が行われ、来月1日の臨時国会では新しい総理大臣が選出される予定です。

このような政局の動きが注目される中、日銀の利上げ政策は見送られる可能性があります。しかし、既に中古物件の価格にはわずかに値下げの兆しが見られます。市場の動向は、今後も注視する必要がありますが、物件購入に際しては耐震基準や立地のほか、賃借権の更新や管理上の利回りも考慮する必要があります。

今回は、賃借権付き中古物件の特徴と、賃借権制度の背景について、わかりやすく解説いたします。

賃借権付き中古物件の特徴

賃借権付き物件とは?
賃借権付き物件とは、建物は所有できるものの、土地そのものは借地契約に基づいて利用する形の不動産です。この形式は、特に土地価格が高い都市部において利用されることが多く、購入時の費用を抑えることができるため、ある種の利点を持ちますが、特有のリスクも伴います。

賃借権付き物件のメリット

1.購入価格が安い: 賃借権付き物件では、土地を購入する必要がないため、全体の購入コストが低く抑えられます。都市部など土地の価格が高騰している地域では、特にそのメリットが顕著です。

2.譲渡・転貸が可能: 賃借権の契約内容により、譲渡や転貸が可能な場合があります。そのため、自分が利用しなくなった際にも、権利を第三者に譲渡したり、転貸することで収益を得られる可能性があります。

3.土地の維持管理コストを回避: 賃借権付き物件では土地を所有しないため、固定資産税や土地の維持費用などの負担を避けることができます。

賃借権付き物件のデメリット

1.土地の資産価値を享受できない: 地価が上昇した場合、所有権物件であればその恩恵を受けることができますが、賃借権付き物件では土地の所有権がないため、資産価値の上昇は直接的に反映されません。

2.賃借料の支払い義務: 賃借権を保持するためには、土地所有者に賃借料を支払う必要があります。さらに、契約更新時には賃借料の引き上げリスクがあるため、長期的な資金計画が重要です。

3.契約期間の不安: 賃借権には契約期間があり、更新の際に条件が変更される可能性があります。特に新法に基づく賃借権契約では、更新条件が厳しくなることがあり、再交渉が難航する場合もあります。

4.市場での流動性が低い: 賃借権付き物件は、所有権物件に比べて市場での需要が低いため、売却時に苦労することがあります。また、融資の条件も厳しくなることがあるため、購入希望者が限定されるケースも見受けられます。

日本の賃借権制度の背景

旧法と新法の違い
日本の賃借権制度は、旧借地法と借地借家法(新法)の2つに基づいています。旧借地法の下では、賃借人の権利が強く保護され、土地所有者は土地を自由に処分しづらい状況が長く続きました。しかし、1992年の借地借家法施行により、契約期間や更新の条件が見直され、土地所有者の権利が強化されました。

現在も多くの賃借権付き物件が市場に存在し、特に旧法に基づく物件は、強力な賃借権を有していることから、購入者にとって魅力的な選択肢となることがあります。

土地不足と都市化の影響
東京23区をはじめとする都市部では、土地の供給が限られており、土地価格も高騰しています。このような背景から、借地権を活用することで土地を有効に利用する必要が生まれました。賃借権付き物件は、そのような土地利用の一環として、多くの場面で有効です。

文化的背景
日本では、不動産の所有に対する考え方が他国とやや異なり、長期的な賃借権を利用して不動産を活用することが一般的です。土地を所有せずに、賃借権を活用して住居や商業施設を運営することも多く見られます。

まとめ
賃借権付き中古物件には、購入コストが抑えられるという大きなメリットがある反面、資産価値や流動性に制約があることも理解しておく必要があります。特に、賃借権の契約条件や更新リスクを十分に把握することが重要です。

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